更新日:2021/02/27
記入者:ECO-AIs
森林を守るためには、間伐材の処理を効率よくする必要があります。その間伐材の有効利用の方法として、間伐材自体を餌にして育てた昆虫を有効利用する研究を進めています。昆虫の腸内では、間伐材に含まれている繊維質を分解する酵素が豊富に含まれいるので、この酵素を、繊維質が豊富な飼料を食べる牛、豚、鶏に与え、効率的な成長につなげられないかという発想での研究です(理化学研究所などとの共同研究)。
以下のようなスキームです。
間伐材の利用(昆虫の活用)→昆虫由来の繊維質分解酵素を、家畜の効率的な消化のための消化酵素としての有効利用→循環型の森の保全(林業の新たな収益源)
シロアリの研究をしている理化学研究所のM先生は、既にセルロースを分解する酵素を単離されていて、その研究成果を活用します。
消化酵素以外に、別の視点もあります。2016年カブトムシの幼虫で試験を開始し、その腸内微生物を調べたところ、空気中の窒素を活用する微生物(タンパク合成の源)の存在などが明らかになりました。そんな話を当時、東京大学におられたH先生に相談したところ、タンパクを食べていないのに、筋肉質の人がいて、それは窒素固定菌が関与しているという仮説があるよという話を教えてくれました(窒素からアミノ酸→タンパク質へ)。
一方で、昆虫タンパク質としての利用という視点も大事なわけですが、千葉大学で研究が進められており、畜水産用飼料の蛋白源としてカブトムシの幼虫が活用可能であるという知見を得ています。
当該視点の研究が進展し、昆虫由来の消化酵素を餌の一部として、あるいは昆虫自体をタンパク源として畜水産分野で利用する研究が進展し、高度な循環型農業が実現されることを期待しています。