更新日:2024/11/21
記入者:ECO-AIs
魚は知的な行動をとることが以前から知られていました。例えば、周囲の状況に応じて適切な行動を学び、それを記憶し再現することができます (ちなみに、富山県の魚津水族館には「魚の芸」を見ることができます)。しかし、このような知的行動がどのようにして行われているか、その詳細は不明でした。
ヒトと魚の頭の共通部分
そこで理化学研究所の研究チームが注目したのは、ゼブラフィッシュという小さな魚です (この魚は体が小さく、飼育が簡単で、遺伝子を操作しやすいことから、研究によく使われています)。研究者たちは、ゼブラフィッシュの頭の中にある神経回路を詳しく調べました。その結果、魚の脳に「大脳皮質-基底核回路」と呼ばれる部分が存在し、それが私たち人間の脳とよく似ていることがわかったのです。この部分は、考える力や記憶する力に関係しています。
VR技術を活用した新しい検証システム
魚の空間学習能力に関する実験も行われています。研究チームは、仮想モリス水迷路実験(Virtual Morris Water Maze, VMWM)という2次元仮想現実空間実験システムを開発しました。このシステムは、ゼブラフィッシュが電気ショックを受けない安全地帯を探すために仮想空間内で周囲の目印を利用して学習・記憶する様子を観察可能な仕様になっています。これにより、ゼブラフィッシュは特定の2次元空間を学習・記憶することができることがより詳細に確認することができました。
これらの発見により、魚が単に本能で動いているわけではなく、私たちと同じように頭を使って賢く行動していることが分かりました。これからの研究で、さらに魚や人間に共通の知的行動の仕組みが詳しくわかっていくことが期待されています。今後、もっと多くのことが明らかになると、魚たちの新しい一面が見えてくるかもしれませんね。
また、いろいろな環境変化が脳に与える影響も明らかになっているので、これまで以上に温暖化や環境負荷の影響を考慮して持続可能な社会を作っていく必要があるのかもしれません。
・理化学研究所 ヒトと魚の賢さの共通基盤の発見 -魚の進化的に保存された大脳皮質-基底核回路の全貌を解明-
https://www.riken.jp/press/2024/20240314_1/index.html
・魚津水族館/水槽紹介/展示ガイド/おさかなショー
https://www.uozu-aquarium.jp/guide/tank/
・理化学研究所 ゼブラフィッシュの空間学習機能を実証-2次元仮想現実空間実験システムを開発-