Eco-AIs

環境保全

昆虫の腸内に寄生する虫が河川の生態系を作る?

更新日:2023/02/24
記入者:ECO-AIs

カマキリの腸内には、細菌以外の生き物が棲んでいます。この生き物は寄生虫と呼ばれ、ハリガネムシ(ちょっと細長い形状の生き物)はその一種です。

このハリガネムシという生き物はちょっと変わった特性を持っています。

なんと、カマキリの神経系に影響を与える物質を出して、深い水のあるところにカマキリを誘導して、飛び込ませることができるのです!

なぜこのようなことをするのでしょうか?

ハリガネムシが作り出す物質が神経系に作用するようです。その結果、カマキリを深い水へと飛び込み、カマキリは溺れ死にます。一方で、ハリガネムシは卵を産み、ハリガネムシの卵が深い水のところでかえるようになります(ハリガネムシの作り出す物質によって、カマキリは、深い川の光に反応することが知られています。そして、深い川がハリガネムシの卵の孵化において重要なのだそうです)

https://www.kobe-u.ac.jp/research_at_kobe/NEWS/news/2021_06_22_01.html

また、カマキリなどの死骸のエネルギーが、魚の栄養源となって、計算上30%以上がこれらの死骸で川の生態系が守られているらしいことがわかってきています。

https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/archive/prev/news_data/h/h1/news6/2011/110412_2

ハリガネムシが出す物質が、実はハリガネムシ自身の繁殖だけでなく、川の生態系を守ることにも役立っているということです。

生態系の不思議を感じます。

他にも生き物を操る仕組みとして、ネズミに寄生するトキソプラズマによる反応が知られています。トキソプラズマは通常はネコに寄生します。トキソプラズマは、ネコからネコへ感染する際に、ネズミを媒介とし、寄生したネズミの行動を変化させてネコに食べられやすくすることで新たな宿主に乗り移ることができますそうなのです。そのため、トキソプラズマに感染していない通常のネズミは猫に寄っていかないですが、トキソプラズマに感染したネズミは、猫に寄っていくようになります。

これらの物質を人間の生活に応用できれば素晴らしいと思いますが、これらの物質を扱うのには危険も伴う気もします…。

例えば、鳥インフルエンザをネズミが媒介するという話がありますが、ネズミが猫に捕獲されやすいようにする工夫がこれでできれば、ひょっとすると養鶏場にネズミが行かなくなるかもしれません。。。。

生態系に優しい形で何か新しい開発に役立てば幸いです。

[関連情報]

https://scienceportal.jst.go.jp/newsflash/20210628_n01/

https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/archive/prev/news_data/h/h1/news6/2012/120525_1

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/7449/