更新日:2022/11/25
記入者:ECO-AIs
みなさんは何のために時計を見ますか? 現在時刻の確認や経過時間を計るためという人がほとんどではないでしょうか。今回は一見変わった時計の使用方法を順を追って、ご紹介したいと思います。
1.ストロンチウムを用いた光格子時計: 精度はこれまでの1000倍以上
従来、セシウム利用の時計では、3,000万年に1秒狂う精度と言われています。これだけでも相当正確な時計でしょう。しかし、ストロンチウム利用した光格子時計は300億年に1秒狂う程度の精度まで向上させることができるそうです。
光格子時計では原子にレーザー光を当て、吸収する光の振動数(共鳴周波数)を測定することで時間を決めるのです。
2. 実証試験:
最近、光格子時計による精度を活用して、一般相対性理論の実証が可能になったそうです。一般相対性理論によると重力による影響で、地上に近いほど時間が遅くなることを、光格子時計が実証してくれたのです。
3. 地震予知への応用展開 (土地の上下運動などの振動の違いを時間によって評価)
将来、微妙な高度差を光格子時計を用いて評価できることが期待されています。
例えば、周囲より比重の高い鉱脈などが地下にあると、地上の重力に違いが生ずるそうです。具体的には、地下のマントルで、物の浮力(浮かぶ力)の差が生ずる現象 (アイソスタシーisostasy)が関係するとのことです。物の比重(重さと体積の割合)の違いがあると重力が変わるようなのです。
そこで、この新しい光格子時計の出番です。
資源探査に応用するなどさまざまな予知がより正確にできる可能性があるのではないか、それによって、新しい産業が創出されるかもしれません。また、土地の上下運動を探査する地震探査など。。。
将来、いろいろな車に乗せて、移動している時にそんな現象を観測できたら、どこかの田舎の道の下に貴重な鉱脈が見つかったり、、、(石油探し、鉱脈探し、天然ガス探し、宝探し?)
気象への応用、動く気象台、ウェザーニュースの時計版・・・地震予知車 (earthquake forcast car)・・・
将来、子供達が、ブーブーと言ったら、
動くearthquake forcast (地震予知車とカッコよく言っている) だよ。と説明する日が来るかも。。。。。
また、光格子時計とファイバーレーザーをセットしたら、ものすごく地震が起きやすいところでも、工場のカッターの精度が高いまま、細かな作業も重力の差(揺れ)を考慮しないで、高性能の部品を作ったりできるのでは。。。。将来、日本で地震が増えた時の対策。 こないことを祈ります。。。。
[参考文献]
ttps://www.env.go.jp/nature/nankyoku/kankyohogo/nankyoku_kids/encyclopedia/a/isostasy.html
https://www.nikkei.com/article/DGXNASGG03007_V00C12A5MM8000/
光格子時計が時計の概念を変える|ナノテクノロジー・材料|事業成果|国立研究開発法人 科学技術振興機構 (jst.go.jp)
NICT(国立研究開発法人情報通信研究機構)のHPには次のように記載がありました。(https://www.nict.go.jp/press/2022/06/09-1.html)
2001年に東京大学大学院工学系研究科の香取秀俊准教授(当時)によって提案された光時計の方式であり、現在NICTを含む6機関が開発したストロンチウム、もしくはイッテルビウムの光格子時計は二次周波数標準として国際的に認められ、協定世界時(UTC)が刻む1秒を校正する能力を持つ。NICTの光格子時計は、パリ天文台に続き世界2例目の二次周波数標準となり、2018年12月から不定期ながらUTCが刻む1秒の長さを評価しており、直近では2021年8月から継続的にUTCの1秒を校正するデータを国際度量衡局(BIPM)に提供、UTCの維持に寄与している