更新日:2021/02/27
記入者:ECO-AIs
ワクチンのように注射をして免疫系を賦活化するのではなく、身体を傷つけず痛くない形式、すなわち鼻・気道への噴霧、あるいは食品として摂取などの、非侵襲的な曝露によって免疫系を賦活化させる素材の技術開発を進めています。
ワクチンは、病原性微生物に対する予防法として定着していますが、通例、特定の病原性微生物に対する免疫系の賦活化させます。一方、本製剤では、比較的広範囲の病原性微生物に対する効果を求め、必然的に環境微生物との共生を可能とする機能を想定しています。またカテゴリーとしても、医薬品ではなく、化粧品や医薬部外品の環境素材、食品への転用を視野に入れています。
自然界の動物はワクチンを打つわけでもなく、環境微生物と共生しています。環境微生物と共生するための仕組みは体の中に本来、備わっています。ワクチンにおいても、そもそもその語源は、前述のエドワード・ジェンナーの研究で用いた牛痘に関連する造語です。ラテン語のVacca(雌牛)に由来しています(パスツールが命名)。天然痘ウイルスそのものではなく、近縁の牛に感染するウイルスを用いたことによって、天然痘ワクチンの開発の活路を見出しました。一方、現在のワクチンは、対象となる病原性微生物と近縁の微生物を用いるのではなく、対象となるウイルスそのもの、あるいはその遺伝子そのものを用いています。これでは突然変異をした場合、イタチごっこになる可能性があります。
本製剤の開発のターゲットは、ワクチンの本来の理念(パスツールが命名する以前のジェンナーの取り組み)を受け継ぎ、対象となる病原性微生物とその近縁の微生物の遺伝的特性の類似性を重視した上で、その類似性領域をターゲットとして免疫系を賦活化するために設計した融合タンパクになります。また、免疫系を賦活化する上で重要なアジュバンド分子も遺伝的類似性を考慮しています。これによって、例えば家畜を対象とした近縁ウイルスの感染症対策、並びに未知の近縁ウイルスの感染症対策も想定できることになります。
今のマスク生活は、やむを得ませんが、これではゆくゆくはヒトと動物と様々な環境微生物との共生関係が崩され、アレルギーをはじめとした別の疾患の発症リスクを高めることになり得ます (Hygiene Hypothesisの論理より)。開発が実現化した場合、本製剤は、様々な環境微生物との共生を重要視した形になりえます。したがって、開発実現の暁には、生態系に配慮した製剤として、Ecoccin (エコシン、あるいはエコチン)、並びに共生を意味するSymbiosisから、Symbioccin(シンビオシン、あるいはシンビオチン)という名称などによってワクチンと識別するようにしたいと思っています。
本技術については、基本特許を2020年7月22日出願済み(出願番号2020-125776)ですが、技術的検証を進めています。既に抗原となる分子の可溶性がアジュバント候補分子の種類によって、大きく変化することが判明しています(2020年10月30日時点)。さらにアジュバンド分子となるHeat shock proteinを色々と調整し、技術的な検証を進めています。段階を経た上で、当該技術的な概念を公開し、広く普及してもらうことを希望しています。
PCT出願(国際公開番号): WO 2023/032008 A1